このブログでも何度か書いている
ジョエル・シュマッカー監督の1993年の映画。原題も同じ。WOWOWで放送していた。
途中で思った通り、この映画は観たことがあるなと気付いたが、面白いので最後まで観る。登場人物達の人物描写が丁寧で素晴らしく、説得力がある。
D-Fenceというナンバー・プレートを付けたオンボロ車に乗っているマイケル・ダグラス。映画の中でも刑事からは、D-Fenceと呼ばれます。真夏のロサンゼルス、道路工事の渋滞に巻き込まれ、冷房の壊れた車内で汗が噴き出し、蠅もまとわりつき、徐々に苛立ち、車を乗り捨てたまま立ち去ってしまうD-Fence。
そこに偶然いた、今日で早期退職する刑事、プレンダガスト役が、
ロバート・デュバル。後々、彼が様々な事件の犯人はD-Fenceだと嗅ぎつけることになります。
D-Fenceは、韓国人の経営する小さなスーパーでぶち切れ、商品を破壊、防犯用のバットを店主から奪ったのをきっかけに、中南米系の若い二人組のチンピラに絡まれては撃退、彼らからは、バタフライ・ナイフを奪う。
そして、彼らは復讐するため、マシンガンなどで武装して、走行中の車内からD-Fenceを狙って乱射しますが、回りの通行人に死傷者が出るだけで、本人は無傷。何事も無かったように歩いて行く。チンピラどもは、他の車と激突して死亡、D-Fenceは武器がぎっしり詰まったスポーツバッグを奪い、立ち去る。
この辺り、コンピュータ・ゲームで次々に戦利品を獲得していく感じに似ている。どんどん普通の人から悪人へと変貌していくパニック・ムービーなんですが、何故か笑える部分もあり、不思議というか秀逸というか。
その後もファスト・フード店で、3分過ぎただけなのに、モーニング・メニューは終了なので、ランチ・メニューから選んで欲しい、という店側の杓子定規な対応にぶち切れ、店内にいる全員を震え上がらせる。しかし、このシーンでも笑えるシーンがある。
払い下げ軍用品店の店主、ニック役の
フレデリック・フォレストもスキンヘッドで、ナチ信奉者の強烈なキャラクターを演じ、素晴らしかった。
そこで白いワイシャツ、ネクタイというサラリーマン風の出で立ちから軍服に着替えて、なおもただ一つの目的のためだけに突き進むD-Fence。武器は更に増えて、バズーカ砲まで入手。
映画の撮影と勘違いした黒人のこどもに撃ち方を教えてもらうシーンも笑える。
世の中の様々な格差、不条理や矛盾に苛立ちを隠せないD-Fence。たった一人の娘に会うことも許さない別れた妻、更に一ヶ月ほど前に会社も首にされた孤独なD-Fenceですが、その話ぶりには結構、うなずけてしまう部分も多い。
事務屋とバカにされるプレンダガスト刑事を信頼し、彼とともにD-Fenceを追う女性刑事サンドラ役には、
レイチェル・ティコティン。
D-Fenceの別れた妻役は
バーバラ・ハーシーが演じていました。プレンダガストの妻アマンダ役は、
チューズデイ・ウェルド。この人もちょっと精神的に病んだ役柄。D-Fenceを追い詰める終盤では、電話で妻アマンダにガツンと言ってやるプレンダガスト刑事に快哉。あの場面も笑えた。
最後は、ブレンダガストとD-Fenceが差しで勝負。このラストも好き。非常に面白い映画でした。