2016.11.17 Thursday
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普天間問題の根本にあるのは、米国が日本に基地を置いていることの本当の意味について私たちが思考停止に陥っていることだ。米国が日本に基地を置いている理由の一つは日本が米の軍事的属国だと日本人に思い知らせるためであり、もう一つは、中国、北朝鮮という「仮想敵国」との間に「適度な」緊張関係を維持することで、米国の西太平洋における影響力を保つためだ。
米軍基地は既にあるものであり、これからもあり続けると私たちはみな思いこんでいるが、米国は90年代にフィリピンのクラーク空軍基地とスービック海軍基地から撤退した。08年には韓国内の基地を3分の1に縮小し、竜山基地の返還も決まっている。いずれも両国民からの強い抗議を受けたものだ。米国防総省は沖縄の海兵隊基地については、県外移転も問題外であるほどに軍事的重要性があると言い、日本のメディアはそれをうのみにしている。だが、その言い分と米国が東南アジア最大の軍事拠点と、北朝鮮と国境を接する国の基地を縮小したという事実の間にどう整合性があるのか。私たちに分かるのは、日本国民は韓国国民やフィリピン国民よりも米国に「侮られている」ということだ。
普天間基地問題で、基地の国外撤退を視野に収める鳩山由紀夫首相に対しメディアは激しいバッシングを浴びせている。米国を怒らせることを彼らは病的に恐れているようだ。だが、いったい彼らはどこの国益に配慮しているのか。
日本人は対米関係を考えるとき、対等なパートナーとして思考できない。この「属国民の呪い」から私たちはいつ解き放たれるのか。
うちだ・たつる 1950年生まれ。神戸女学院大文学部教授(フランス現代思想)。「日本辺境論」「邪悪なものの鎮め方」など著書多数。
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