マークとマイケルのポーリッシュ兄弟の映画を初めて観ました。(2/16追記:初めてではなかった。
この映画もマイケル・ポーリッシュ監督でした。)監督はマークで初作品とのこと。そして、二人は
シャム双生児(結合双生児)という難役に挑戦。リアルな世界ではベトナムのベトちゃん、ドクちゃんが有名ですが、彼らも確かどちらかが亡くなり、もう一人は結婚した記憶があります。
映画は二人の女性のタクシーの中での会話から始まる。一人がマネージャーで、もう一人が売れないタレントかな、と思いつつ観ているとその一人、ペニー(
ミシェル・ヒックス)がタクシーを降りる。場末の怪しげなホテルに入り、エレベータ係の老人に部屋の番号を尋ねる。ドアに部屋番号も書いてないのだ。ここでペニーは娼婦なのかな、と思う。そして、左手の甲に大きくマジックで書かれた男の名前がアップ。ここで娼婦と確信。
部屋に入り、やがてシャム双生児とご対面。ブレイク(
マーク・ポーリッシュ)とフランシス(
マイケル・ポーリッシュ)。ひとつの体に2本の手、3本の足、2つの頭。ペニーは、彼らが別の部屋にいる間に逃げてしまう。バッグを忘れ、戻ってきたペニーは、フランシスの体調を気づかい、知り合いの医者を呼ぶ。そこから始まる双子との心の触れあいの物語。
実の母親に見捨てられ、里子に出された二人、好奇の視線に晒されて生きてきた孤独な二人。元気で健康なブレイクと大人しく病弱なフランシス。モデルを夢見ながら「金持ちへの近道」の仕事、娼婦をしているが貧乏で孤独なペニー。
今まで人目を避け、ひっそりと生きてきたはずの双子。それが自分達を奇異な目で見ず、普通の人間として接してくれるペニーと出会うことで、恋心が芽生え、ブレイクはベッドにただ寝ているのが耐えられず、出て行こうとしますが、フランシスは動こうとせず、もみ合いになるなど葛藤も。二人が感情の高ぶりを見せるシーンはここぐらい。非常に静かに進んでいく映画です。そして、ペニーもブレイクに惹かれはじめます。
前半の不思議な独特なトーン(音楽も含めて)がすごく好きでした。後半になるに従い、割と普通のトーンになっていきますが(このあたりは個人の感覚的な問題でうまく言えない)、それでもわざとらしい、安っぽいドラマチックな展開にはならず、実に淡々と進んで行くところが良かったです。
ポーリッシュ兄弟、調べたらこの映画の公開時、29歳位でした。何でそんなに若いのにこんな渋い映画を作れるんでしょうか。ペニー役のミシェル・ヒックスはスーパーモデルとのことで、これが初の映画出演ということですが、信じられない。美脚もたまりまへんでした(笑)。二人の実の母親役、
レスリー・アン・ウォーレンの演技も素晴らしかったです。