マーティン・スコセッシ監督が総指揮の
ブルース・ムービー・プロジェクト。このプロジェクトでは、以前、このブログでも書きましたが、スコセッシの
「フィール・ライク・ゴーイング・ホーム」に続き、2作目の鑑賞。
原題は、"
The Soul of a Man"。
ブラインド・ウィリー・ジョンソン、
スキップ・ジェイムス、
J.B.ルノアーという3人のミュージシャンにスポットを当てて描いている。
モノクロ映像により、当時の雰囲気を再現し、役者に3人のミュージシャンを演じさせています。画質を綺麗なままに保っているのは、観る者に当時の映像と、再現映像とを判別しやすくさせる理由もあるのでしょう。当時のニュース映像、キング牧師、ベトナム戦争、クー・クラックス・クランなどの映像を挿入しながら、そして、3人の曲をマーク・リーボウ(マーク・リボー)、カサンドラ・ウィルソン、ボニー・レイット、ロス・ロボス、ルー・リード、ベック等、大勢のミュージシャンが取り上げている映像も混ぜながら進行。
その現代のミュージャン達の映像もこの映画の撮影のために撮影したとのことで、ものすごく時間がかかっている映画だなあ、という印象。
スキップ・ジェイムスとJ.B.ルノアーは面白いと思った。スキップの繊細なギターと独特の歌声はたまらんものがありました。また、ルノアーのシマウマ柄のタキシード、そして、彼の妙に明るい曲調も不思議だし。そして、彼のドキュメンタリー映像を撮影し、映画にしたアメリカ在住のスウェーデン人夫婦も登場。ルノアーの純粋なファンとして、ルノアーがどこかのプロモーターの目に留まり、呼んでくれればいい、と思って記録したとのこと。
スウェーデンのテレビ局等に持ち込んだ際も映像技術的な欠点ばかり指摘され、結局、日の目を浴びることはなかったというルノアーの映像。この夫婦を探し出し、映画に挿入したヴェンダース。これはファンならずとも貴重な映像でしょう。
スキップ・ジェイムスは、'31年、パラマウントに1日で18曲という伝説的な録音をし、40ドルだけを手にし、あとは印税でガッポガッポを期待していたものの、不況でレコードは売れず、やがて父と同じ牧師となり、その後、行方不明。30年以上経って、病院で発見され、ニューポート・フェスティヴァルに出演し、聴衆の心を鷲づかみにした、という逸話もたまらない。そして、あのクリームが、スキップの曲、"I'm so Glad"を大ヒットさせ、その印税で、入院費を支払うことが出来た、という話も。
ともあれ、最初、想像していた映画とはかなり違って、非常に興味深く面白かった。