このブログでも以前ちらっと書いた、大好きな「マルコヴィッチの穴」と同じコンビ、監督、スパイク・ジョーンズと脚本のチャーリー・カウフマンの映画、ということで興味津々で観ました。
どこまでが現実に起きた話で、どこからが脚本の世界の話なのか、あるいは妄想なのか判然としないまま、本作も不思議ワールドが全開でした。ただ、「マルコヴィッチの穴」の方がずっと好きですけど。
ニコラス・ケイジが、チャーリー・カウフマンと、双子の兄弟、実在しないダニエル・カウフマンを一人二役で演じてます。まじめで、鬱で、女性恐怖症気味のチャーリーに対し、軽薄だが、明るく、大の女好き、ダニエル。
話は、実際にベストセラーとなっているノンフィクション、スーザン・オーリアン(
メリル・ストリープ)の
蘭に魅せられた男―驚くべき蘭コレクターの世界、原題は"The Orchid Thief"、つまり蘭泥棒の男の話。
このベストセラー小説の映画化に向け、脚本を担当することになった、チャーリー・カウフマンの苦悩ぶりを描いた映画。
幽霊蘭と呼ばれる、幻の蘭の不法採取に情熱を傾けるジョン・ラロシュ(
クリス・クーパー)が、とにかく魅力的に描かれている。さすが、クリス・クーパーだ。
スーザン・オーリアンが、ジョン・ラロシュを取材する中で、本質的に冷静な自分には理解しがたいラロシュの人並み外れた情熱、過去に熱中したものをあっさり捨て去り、またすぐに新たに熱中できる対象を見つけてしまう、そんな自分には理解不能のキャラクターを持つラロシュに興味を抱き、やがて一線を越えてしまう、・・・というお話。
メリル・ストリープの出る映画って、あまり観たことがないような気がします。あまりにも王道を歩いている女優といった感じなので、興味を持てないのかも知れません。
そのストリープが、毒のある俳優、クリス・クーパーと共演なんて、なんとも意外なキャスティング・・・なのかも。しかも蘭から精製されたヤクでラリっちゃって、ストリープ、本気でラリってるような表情だったなあ。
スーザン・オーリアンという人もジョン・ラロシュという人も実在の人物、あたしたち、エッチなんかしてないわよ、などと訴えられたりしなかったんでしょうか(笑)。
ああ、でもこれは、映画の中で、チャーリー・カウフマンが書いた脚本を映像化しただけなんだよね、だから映画を観た人は、脚本上の話なんだよな、と分かるんだよな、などと思いつつ、そう言えば、チャーリーは、スーザンに会わないと脚本が書けないと思い立ち、はるばるニューヨークに行き、エレベーターの中で、偶然、彼女に遭遇したにもかかわらず、声もかけられなく、結局、スーザンにもジョンにも一度も取材してないもんな、などと思い、どこまでが現実なのか、すべてが脚本なのか、とりあえず、ダニエルが出てくる部分は、間違いなく、現実じゃないからな、などと思いつつ、エンド・クレジットの最後には、「ダニエル・カウフマンの死を悼む」だったかな、そんな字幕を出すのもシャレてるな、などと思うのでありました。
さよう、映画の終盤は、いきなり展開が速くなり、ダニエル他1名は死んでしまうのです。