'95年リリースの
ジョン・パティトゥッチのアルバム。ブラジル、MPB界から
ジョアン・ボスコが3曲、
イヴァン・リンスが2曲、ドリ・カイミが1曲参加。
Joao Boscoの参加している3曲("Bate Balaio", "Agua Mae Agua", "Varadero")は、すべてトリオで演奏されています。ボスコのg,vo、パティトゥッチのb,アレックス・アクーニャのperc。しかも3曲ともボスコの曲。個性的でアクの強い曲と歌い回しで、完全なボスコ・ワールド、アルバムの中でもいいアクセントになっているし、ボスコ好きにはたまこちらりません。
マイルス・デイヴィスは、Ivan Linsの曲でまとめたアルバムを作る構想を持っていたのは有名な話ですが、イヴァンは本作では2曲参加。しかし、自分の曲は歌っていません。ボスコとのこの待遇の差は何だ(笑)。
1曲目のタイトル曲は、アレックス・アクーニャとマイケル・シャピロの打楽器陣とコーラス隊のスキャットが気持ちいい。ファンク調とサンバ調のパートが交互に現れる曲もナイス。パティトゥッチが、ヤマハの6弦ベースで、ぐいぐいソロを弾いています。この曲は、ノレる曲ですが、どちらかというと「動」というよりも「静」なアルバムで、リード・ベースで美しいメロディやソロを弾く曲が多いですね。
ジョン・ビーズリーのピアノが美しい"Soul Song"では、ピーター・アースキンも参加。少し耽美的な演奏で、ECMレーベルっぽい雰囲気も感じられる。マルチ・リード奏者のスティーヴ・タヴァローニのソプラノ・サックスが美しい"Joys and Sorrows"も聴き物。
アコベ1本だけの演奏、"Long Story"は、内省的な深みのあるメロディを持った魅力的な曲で、ピアノとのデュオやギター、ピアノとのトリオなどで聴いてみたい。色んな可能性を感じる曲だ。
他には、ケヴィン・レトー、クレベール・ジョージといったセルジオ・メンデス絡みの人もリード・ヴォーカルを歌っています。カメルーン出身の実力派ベーシスト、Armand Sabel-Lecco(アーマンド・サバル−レッコ)もリズム・ベース(笑)として1曲参加。
決して傑作とは言いませんが、時々、妙に聴きたくなるアルバムです。"Mistura Fina(Fine Mixture)"というタイトル通り、いい感じです。派手ではないけど、趣味のいいアルバムを、GRPという安っぽいフュージョンがメインのレーベルから出せた、というのも人気ベーシストだからでしょうか?
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