第一次大戦中のウェールズの寒村が舞台。
冒頭で、ウェールズでは、不思議とウィリアムズ、エバンズ、ジョーンズなど名字が限られている。間違わないように職業に名前を付けた。"石油店"ウィリアムズ、"予言者"ウィリアムズなど、と語られる。
実際は、イングランドにより、ウェールズ人の名前を強制的にイングランド人のように変えさせられたためなのだが、何故かその説明はない。
日本では、イギリスと言ってしまうけど、実際は、イングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドの総称であり、日本で言うイギリスとは、
United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland (グレート・ブリテンおよび北アイルランド連合王国)、その辺りの事情が分からないと、この映画、全く共感できないということになりかねない。
イングランド人の測量技師、
ジョージ・ガラード(イアン・マックニース)と
レジナルド・アンソン(ヒュー・グラント)が、フュノン・ガルウという山の高さを測るため、訪れる。
村人にとっては、唯一の自慢。ウェールズの最初の山、ローマ人、サクソン人、ノルマン人の侵略者から村を守った誇り高き山。だが、測量技師の二人が言うには、山として地図に載るには305mの高さが必要。それ以下はただの丘とのこと。
測量の結果、299mほどで、"丘"という判断だったが、事もあろうにイングランド人によって、由緒ある地元の"山"が、"丘"と認定され、イギリスの地図に載らないのではかなわない、ということで、村民一体となって、土を盛り、再調査をさせようとするお話。
様々な手段を使い、二人が他の地区の測量に出発するのを遅らせようとするところがコミカルに描かれる。
イングランド人測量士の二人が泊まるのが、
“好色"モーガン(コーム・ミーニー)のパブを兼ねた宿。このモーガンと彼を目の敵にする
ジョーンズ牧師(ケネス・グリフィス)の強烈な個性が面白い。
原題の"
The Englishman Who Went up a Hill But Came Down a Mountain"のThe Englishmanとは、ヒュー・グラント演じるアンソンなのだが、"好色"モーガンとジョーンズ牧師、この二人が、僕の中では完全に主役。
やがて、アンソンは、村人の熱情に心を動かされ、標高偽装に手を貸し、
ベティ(タラ・フィッツジェラルド)にも心動かされっちゅうハッピー・エンディングな話になるわけです。
それにしてもこのDVDのジャケのヒュー・グラントの表情、こんな表情、全くしてないんですけどね。プレイボーイ風な役ではなく、戦争で心を病んだ退役将校、純粋で真面目な紳士というキャラクターなのですが・・・?
映画の内容にもそぐわないしね、これじゃただのラブ・ストーリーみたいだし、トホホなジャケだ、情けない。
と思って、Amazon.co.ukでオリジナルをチェックしたら
何とおなじでした(苦笑)。
いい映画だと思うんだけどね、ジャケで損してる。邦題でもね。