あの
カルリーニョス・ブラウンが、自身が率いる打楽器集団、
チンバラーダ以外に初めてプロデュースしたアルバム、ということで、当時、相当期待して新品で買った
シルヴィア・トーレス。以後、ずっと愛聴盤で、1990年代に聴いたブラジル音楽の中でも特に好きなアルバムの一つです。でも一般的にはあまり受けなかったのかなあ、と。でも自分が大好きならば、一般的な評価など、どうでもいいのです。「そもそも俺、ジョアン・ジルベルトよりベベウ・ジルベルトの方が好きだもん。」あ、遂に書いちゃった。でも紛れもない本心なんだからしょうがない。
日本で先行発売ということで、帯には「アフロ・ブラジリアン・フォーキー 究極のナゴミ系サウンド」と書かれていますが、確かに打楽器の使い方は、アフロ・ブラジルなバイーアの臭いが濃厚で、これがたまらんのです。シルヴィア自身は白人でジャケの写真では、アンニュイなお姉様といった感じ。コンガやボンゴなども使っていますが、クイーカやギロなど擦り系打楽器、手拍子やベルなどの使い方も素晴らしいです。
そして、その打楽器とアコーディオンやギター等の醸し出すアンサンブルが、とても味わい深く、聴く度に陶然としてしまいます。
解説は中原仁、高橋健太郎というお馴染みの両氏が書いているのですが、
Silvia Torresの5枚目のアルバムということで、それまでの4枚は、本作ほど繊細な味わいはなく、大味だそうです。
サンプルは、
アメリカのAmazonで全曲、聴けます。
解説の二人では、中原氏が「一聴シンプルでポップだが、決して単純明快に割り切れない音楽の不思議な磁力」と書き、高橋氏は「恐ろしく繊細で、のぞき込めばのぞき込むほど、魔術的な魅力を発揮するかのよう」と表現しています。